本当の優しさとは
ある寒い日のこと。遠方での仕事を終え、クタクタになりながら終電を乗り継いで自宅に向かう途中、何を考えていたのか、二つ手前の駅を最寄り駅と勘違いして降りてしまいました。
あいにく空車のタクシーもなく、足が痛いのを我慢してトボトボ歩いていたら、ラッキーなことに空車のタクシーがやってきました。
乗った途端に運転手さんが、「お客さんどうしたの?肩を落としてしょんぼり歩いてたからさー、何かあったのかとて思って方向転換してきたんだよ」と言ってくださいました。
その言葉に思わず涙が出そうになりました。車中では、今日の自分の失敗や足が痛いことなど、運転手さんに愚痴ってしまいましたが、「うんうん」と黙って聞いてくださり、降りるときに「暖かくして寝なよ」と声をかけてくださいました。おかげでそのあとは、ほのぼのとした気分で眠りにつけました。
ストレスで身も心も疲れきっているときほど、何気ない優しい一言をかけられただけで、すさんだ気持ちもホッと和むものです。
お客様は心のなかでは、いつも優しいコミュニケーションを求めています。本当の優しさは、実は身近なところや身近な人からいただいているのかもしれません。